1973年6月14日(木)叛旗派67名、商学部11号館で逮捕される。

提供: 19721108
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【概要】

11号館にバリケードを築いていた叛旗のメンバー67人が機動隊によって逮捕された。大学当局は、学生間の衝突を回避するためとして、警察との連携強化を否定した。


【早朝の逮捕劇】

「14日朝、開門と同時に構内にはいり込み、11号館(商学部)にバリケードを築いてたてこもろうとした反革マル派67人が、建造物不法侵入の現行犯で警視庁機動隊と戸塚署に全員逮捕された。」(1973年6月14日付朝日新聞夕刊)
逮捕されたのは共産同叛旗派のメンバーで、6月15日を全国統一行動として、前日13日に11号館で350人の集会を開いた革マル派の動きを牽制する目的だったと思われる。
記事は続けて「異例の大量逮捕は、さる4日、学内立入り者のチェックなど『管理強化の要望書』を戸塚署から突きつけられた大学当局が、警察との“連係プレー”で、半年以上にわたる学内の暴力紛争を封じようとして示した強い姿勢の表れとみられる」と、大学当局と警察の共同戦線の構築をうかがわせる。しかしながら、大学当局はこれを否定して「学生集団間の争いが構内で起こることが予想されたため、大学の自主判断で警備当局と話合い、両者の判断で行われた」と、管理強化の要望書に基づく判断ではなかったと述べた。

【当局による学内管理体制の強化】

早稲田キャンパス新聞181号は、トップ記事でこの事態を報道した。見出しは「6.14早朝機動隊導入~当局学内管理強化を意図」。その背景について「6月に入ってから『内ゲバ』を事前に封じるということで、警察当局による早大、日大などの捜索もこの日までに、6日、8日、10日、11日と4回にわたって相次いで行われていた。また、30日の革マル派と解放派・行動委との衝突に際しては、現場検証が当日直ちに行われるなど、大学当局も警察力の導入に関してかなり積極的になっている」と報じた。さらに記事に加えて「14日の大量の早朝スピード逮捕といったことはある程度予想され得たことであり、『内ゲバ事件』の証拠採取を理由とした学内捜索などに示されていた当局側の協力的態度がその基盤となっている。さる6月4日の『要望書』(編註:戸塚署から示された『大学当局に管理体制の強化を求める要望書』)は地元商店街から戸塚署に対して要望が出されたことを口実として出されたものであるが、学内問題になんら対応策を見出し得ず、告示、声明、ロックアウトを連発させるだけの当局にとって、管理体制の強化とは具体的にロックアウト、機動隊導入の頻発、迅速化に直結するだけに、外部からのこうした形での学内管理の強化を求める圧力を背景として、当局側も機動隊導入にそれなりの『大義名分』を得たとしていることが最近の特徴としてあるものと思われる」と解説している。
たしかに6月4日の要望書を契機として考えると、管理体制強化によって生じた大量逮捕の色合いが濃いように見える。しかし、すでに1月22日の時点で、1号館の総長室に入った政経学部の学生15人が当局の要請によって逮捕されていることを考え合わせると、学生に対する懲罰の手段として当局が官憲介入を利用した向きもあるのではないだろうか。


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