1973年5月19日(土) 革マルの妨害で一文キャンパスに入れず。当面の拠点確保が課題に。

提供: 19721108
移動先: 案内検索

【概要】

午前8時、革マル派40名が「小選挙区制粉砕、緊急ストライキ」を叫んでスロープの上に机・椅子でバリケードを築いた。実質上の検問体制により構内に入れないメンバーは、本部を拠点に、情宣活動の準備、会議等を行った。革マルの暴力的敵対に対し、武装による自衛やレジスタンスを呼びかけるビラも見られるようになった。


【拠点確保という課題】

一文における活動の問題点は、門衛前を通りスロープあるいはその脇の階段以外に学内に入る道筋がないことだった。革マルは、学内外の勢力を寄せ集め、スロープの上にバリケードを築き、狭めた入口で実質的な検問を行った。これによって新執行部、行動委、団実委等のメンバーは構内に入れず情宣活動に支障が出ると同時に、クラス討論で発言するメンバーにとっても圧力となった。時には小競り合いとなったが、当局は傍観を決め込むだけだった。
全学団交実行委のビラには、「4-16-8全学の各号館、文学部キャンパスを自らの手で奪還し、自主管理し、逃亡せんとする村井を実力で引きずり出そう!」とある。また、「方針提起」(文責L)と題したビラにも「当面学内拠点(4、8、16)を実力で維持し、革マルをして学館-11号館に封じ込め、ゲリラ戦(レポ狩り)、投石戦を開始しよう。そうしたレジスタンスMを背景に、5月下旬学生大会を克ち取り、6月総反撃を開始しよう」とあり、文学部をはじめとする各学部の運動拠点が本部の4、16、8号館であったことがわかる。
本部から文学部キャンパスへ移動する場合は、8号館脇の門から馬場下への坂道を上るか、16号館から西門を出て早稲田通りを馬場下に下る2つの道筋がある。直接の衝突はなくても互いの動きには目が離せず、本部と文学部キャンパス間ではレポの行き来が激しかった。「方針提起」にあるゲリラ戦とは「革マルを見たらすぐ通報し、石を投げること」とある。さらに各クラス単位で情宣隊、RC(レポセン)、救対、武装行動隊、読書会等の設置ならびにクラスごと、地域ごとに集団で行動することを提案している。
実際に翌週5月24日には、高田馬場駅前で情宣中の一文執行部のメンバーが革マル20名に襲撃されている。(早稲田キャンパス178号)特定の個人あるいはクラス、グループへの攻撃はしだいに苛烈になり、行動範囲が限られるばかりでなく身の危険も伴うようになった。
5月27日に早慶戦の開かれた明治神宮で配られた一文執行委員会、団交実行委員会連名のビラには、その状況が次のように書かれている。
「一貫して居直り続け、暴力的敵対にのみ延命の道を見出している革マルは、4月・5月と『統一行動』の名の下に鉄パイプによるテロを再び開始し、全治1ヶ月の重傷を負った執行委員長樋田君を始めとして多くの学友を傷つけています。さらに5月19日には文学部に:バリケードを築き、学友を検問するという追いつめられた自らの本性を暴露しているのです。そういう状況の中で、昨年11月28日の学生大会の圧倒的な学友の意志を受けつぐ執行委員会の学友達は、文学部キャンパスでの活動を充分に行い得ていません。」


【6月に向けて】

早慶戦で配られたビラの見出しは、「革マルのテロを突破し、6月総攻撃へ!」である。また、同時期に一文自治会執行委員会と一文団交実行委員会連名でだされたビラにも「6月総攻撃を準備しよう」とある。
展望の前提としてあるのは「全学団交実行委員会を軸に、当面学内での活動拠点を実力で維持し抜き(4、8、16各号館)、革マルとの対峙状況を作り出し、文学部での徹底したレジスタンスを貫徹する」ことであり「5月下旬学生大会の勝利」であった。6月の課題としてあげられているのは「国家権力の攻撃に対して反撃する」「全学総長団交を実現する」「73年度早稲田祭実行委員会を結成する」「自治委員選挙~新執行部樹立」の4点である。
この4点を実現するために何をなすべきかについては、「各クラスの連絡態勢を今一度点検し、各クラスから行動隊を必ず出そう」と提起している。また、この中では「持久戦~レジスタンスを貫徹する」という表現が使われている。


【暴力について】

この連名のビラには、18日の革マルと反帝学評との衝突について次のような「追記」がされている。
「5月18日の事態について。まず基本的に我々とは関係のないこと、そして我々の運動の原則とは逸脱していることを確認しよう。勿論我々は革マルに対して一文のキャンパスを暴力的に制圧されているという現状を踏まえるならば、自らの運動は自らで守り抜く、一人に対するテロは全員に対するテロと見なすという立場から、最低限自らの命を守るため、革マルの情宣集会を一切許さないという立場から、大衆的な暴力的な反撃を展開する必要があることは言うまでもない。僕たちは一般的に暴力を否定しない。軽々しく暴力追放などという遠ぼえなど言わない。今、暴力は復権されなければならない。強いられた存在の一つの行動様式として、暴力=肉体性の発現はあるのだから、そういう行為は、共同性の一形態であるだろう。」
この意味するところは、執行部主体の活動における暴力(編註:武装による自衛、あるいは革マルに対する反撃)は、運動を推進するためには必要であるとする意志の表明であった。
一方で、一文学生自治会執行委員会の名前によるビラには、暴力を防ぐことへの言及が頻出するようにもなった。
「文学部一人一人の学友に訴える」と題したビラには「我々の大学を暴力のない真に自由な学園にするために闘い続けなければならない」として次の5項目をあげている。
1.キャンパス内等で、学友が革マル派学生に囲まれた場合、最低限見守っていること。そして暴力的事態を未然に防ぐこと。
2.一人一人の学友をクラスで暴力から守ること。
3.クラス討論で様々な内部の問題、矛盾を積極的に話し合うこと。
4.鉄パイプを見つけた場合は、すぐに8号館に通報して欲しい。
5.10時以後、授業の前に8号館にクラスに撒くビラを取りに来て欲しい。


【リンク】

方針提起
革マルのテロを突破し、6月総反撃へ
6月総反撃を準備しよう
全力で<虐殺>を弾劾せよ!