1973年5月11日(金) 政経学部学大は学生集会に。教育学部で自治委員総会開催。

提供: 19721108
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【概要】

総長団交に向けて政経学部で学生大会が開かれたが、革マルの妨害によって定足数に届かず学生集会になった。教育学部の自治委員総会では自由討論が行われ、全学総長団交に関してどのような立場をとるべきか、賛否が話し合われた。


【この日のできごと】

◎政経学部学生大会、10号館109教室で予定も、革マルが内バリを築いたため、8号館301教室に移動。3時から開催も800名余で定足数に達せず学生集会に。
■革マル、8号館前に集結中の政経学生に2度にわたる鉄パイプ襲撃。
◎教育学部クラス委員総会開催。(※通過数85/84)


【再び実行委員会結成の呼びかけ】

5.8『総長』団交で取り付けた村井総長による5.17団交の確約をめぐっては、一文執行委の中でも参加への賛否があった。すなわち、総長を教室から連れ出すというそのやり方、そして何より、それを行った総長団交実行委員会準備会が、どのようなメンバーで構成され何を目的とするか等の実体が明らかでないことが、否定的な要因であった。とはいえ、5.17を目前に控え、要求項目の一本化は必至であり、それによって学生の支持を得ることが今後の運動を左右することは自明であった。
「5.17全学総長団交勝利・一文実行委員会(仮称)形成のよびかけ」と題したビラは「5.17全学総長団交こそは、我々の闘いに決定的な飛躍をもたらすであろう。この画期的な意義を有する5.17全学総長団交に向けて一文の全クラス・専修はただちに準備を開始し、そしてこの団交を全員で担うべく、団交実行委員会を大衆的な規模で形成していこう」と呼びかけ、その理由は「最大限広汎な学友によって担われる実行委という大衆的共闘機関の創出こそが、最も強力な翼である考えるからである」としている。
「全自治会員ひとりひとりによって担われる自立した自治運動」という原則が観念領域を出ずに執行委員会(=代行機関)としてしか具現化できないとしたら、原則は空語と化し運動は閉塞化する。ことに革マルの暴力的抑圧化にある文学部では、クラス活動はもとよりキャンパスに入ることさえ覚束ない。こうした状況下にあるからこそ、広汎な学友によって担われる団交実行委員会の意義がある。要約するとこのような趣旨である。また、クラス討論のための連絡通信『若葉のささやき』の発刊を告知している。


【5.15創刊『若葉のささやき』より】

一文団実委による『若葉のささやき』第1号は5月15日に創刊された。「5.17全学総長団交勝利!」「クラス団交を創出し一文団実委へ結集しよう!」の呼びかけの他、「一文団実委からのアッピール」「2Dからの報告」「クラス行動隊」の3本の記事と編集委員会による「発刊によせて」で構成されている。「発刊によせて」には「クラス討論用連絡紙」とあり、「全ての学友*(文字潰れ)クラスの活動連絡を密にとっていくべく、この紙面を利用してもらいたい。」との趣旨が書かれている。実際に「2Dからの報告」には「2Dクラスでは4.21学大でクラス団実の早急な創出が確認される以前から、クラス団交の必要性が論議されていた。その後4回程個別の教師とクラス団交をもったが…(以下省略)」とクラスの様子が記されている。


【機関誌『めばえ』第1号】

新2Jは総長団交を目前にした5.14に第一文学部2年J組団交実行委員会準備会の名前で機関誌『めばえ』を発刊した。春休み中も有志が機関誌『報』1~6号を発行していたクラスである。彼等はこう呼びかける。
「学友諸君、今こそ私達は固いスクラムを組み直さねばならない。もう一度、あの11月の闘いの高揚を想起してみようではないか。総長団交への闘いを主体的に担い、その運動のダイナミズムの中から、真の『手作りの自治会』を発展させようではないか。今、問題は次のように立てられている。(1)川口君虐殺を糾弾するのかしないのか(2)下手人『革マル』をゆるすのかゆるさないのか(3)革マルの共犯であり、かつ我々を弾圧している当局=村井をゆるすのかゆるさないのか。答えは簡単だ。あまりにも簡単だ。徹底的に糾弾するのだ。川口君を殺した革マルに対し、当局=村井に対し、徹底的に糾弾することだ。そして、その方法は一つしかない。早く、一刻も早く全学団交実行委員会を結成することだ。その基礎となるクラス団交実行委員会を作ることだ。一刻も早く団交防衛隊を各クラスで組織することだ。強力な団実委の結成こそは総長団交勝利のための唯一の道だ。」


【試験をめぐるクラスの実情】

5月8日に実施された前年度繰り越しの語学試験をめぐって『一文有志の記録』には次のような記述がある。
「試験のなしくずし的強行を、我々自身の力量不足、不十分さにより阻止出来得なかったことに、一定の限界性を感じる。だが、その中でも試験前にクラス討論を確保出来たということは、否定的な状況とはいえ、一定の成果であると考える。さらにはそれを通して今まで必ずしも十分に意志の疎通が出来なかった級友と連帯をかちとるような形で組織化が進んだということもまた事実である。さらには、あのまま試験を多数決によってボイコット出来たとした場合、そこでのクラス崩壊という危険性が充分にあり、我々の本来の意思を曲げることになったとはいえ、結果的にはあのような形での実施しかなかったと思うし、クラス活動を今後進めていく上で一定の足がかりになり得たと考える。しかし、ここで何故にクラスの団結がそのような地点にまで後退してしまったのか、それでは今後、どのような形でクラス活動を進めていったら良いのか。」
翌9日に開かれた自治委員協議会では、出席した19クラス6専修の中でクラス討論が多少なりともできたのは3、4クラス、試験をボイコットした者数名と報告されている。(『一文有志の記録』より)


【学生と教職員との関係】

一文の場合、語学によってクラス編成されているので、語学の授業がクラス討論に変更されることも多く、場合によってはクラス担任がその場に同席することもあったが、教職員個人の考えが表明されることはほとんどなかった。
『一文有志の記録』に「先生に対する質問状」が残されている。
「昨年11月8日、第一文学部2年J組の川口大三郎君が、自治会室で自治会常任委を名乗る学生によって虐殺され、それを直接のきっかけとして虐殺糾弾、自治会再建の運動が現在なお根気強く進められている。その中で、新入生を迎えた4月以降、学部は何もなかったように授業を始め、先生方も、キャンパスで人が殺されたことなど全く知らぬげに授業を進める。我々は、先生方がそのことに最低限自らの意思表示をした後に講義をするのが当然だと思っていたのに、それさえもしない。自主的に見解を表明しない以上、我々はそのような先生の態度に抗議し、質問状を提出せざるを得ない。人間としての最低のモラルに基づいて、誠意をもって質問に答えていただきたい。
(1)文学部で講義を受け持つ教師として11月8日の川口君虐殺をどう思うか。(何故に起きたと思うか等、より具体的に。「いけないことだと思う」では答えにならない。)
(2)その後、それを糾弾し、自治会を再建する運動が現在もねばり強く続けられていることに対しての見解。(どう評価し、新自治会をどう考えるか。)
(3)1.19、4.4、4.10など革マル派による鉄パイプテロで多くの学友の血が流されているが、それについての見解。
(4)大学の機構を構成する一員、当局の一員としての自らの立場。11.13告示、11.17告示、自治会承認五原則、機動隊導入に対してどう思うか。
(5)それぞれの立場に応じて、今までどのようなことを大学内で具体的に行動され、今後どうのように行動していくつもりか。

【リンク】

5-17全学総長団交勝利!
全学団交実行委員会を結成せよ!