1973年4月4日(水)16号館で会議中の4.2集会実行委を革マルが襲撃。重軽傷多数。

提供: 19721108
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【概要】

夕方、16号館で4.2集会実行委員会が総括会議を開催。そこへ革マル30人が乱入。手にした鉄パイプで参加者の頭部を次々に殴打。頭蓋骨陥没、骨折等の重軽傷者多数。また、けが人から金銭、手回り品などを強奪した。負傷者はタクシー等で病院へ。残りのメンバーは集団で学外へ出た。

【この日のできごと】

■夕方革マル30名は鉄パイプで武装して16号館402教室に向かい、総括会議を行っていた4.2集会実行委30名を襲撃。頭部を鉄パイプで乱打し、頭蓋骨陥没1名、手足・肋骨骨折数名を含む重傷10名、軽傷20名。


【『一文有志の記録』より】

この日夕刻の出来事について『一文有志の記録』には「4.4夕刻16号館集団リンチ事件経過」と題したメモが1ページいっぱいを埋め尽くしている。
5:00 15号館。社学当局のオリエンテーションに介入していた社学行動委の学友が発言。Zがそれを阻止する形で介入、発言を妨害した。
5:30 Zを15号館から押し出した。15号館前で少数のマルと小競り合い。この時点で13号館ラウンジにマル50~60人が鉄パイプに紙を巻きコートに隠し結集。
6:00 われわれは16号館に引く。15号館のマルから13号館(もしくは学館)のマルへ連絡が行く。
6:30 マルが16号館へ乱入。
われわれは無防備・素手。ちりぢりになってラウンジから上へ逃げる。ラウンジ西端で一人頭部殴打。マルは402教室に駆け上り、中で会議中の各学部代表の学友に対し鉄パイプで襲いかかる。革マルの指揮者Fは「頭を狙え!」と指示。意図的に廃人化を狙う。計9人が頭部を殴打され重傷。ラウンジでやられた人は、頭と右足に裂傷を負い、時計、タバコ、マッチなどを盗られた。一文はY君がカンパの現金3万円、メモ類を盗られ額に傷、M君は頭部:::内出血と鼻血、もう一人のM君は右肩にケガ。
7:00 Zは16号館から逃亡。
負傷者は車で病院へ。
7:30 残ったメンバーは16号館に結集し、まとまって脱出する。

【新聞各紙では】

毎日新聞では「早大でまた乱闘 7人重傷」の見出しで次のように報道した。「4日午後6時半ごろ、東京都新宿区戸塚の早稲田大学16号館で集会を開いていた反革マル系の『4.2集会実行委員会』の学生約30人に革マル系の学生約30人がなぐり込みをかけ乱闘となった。革マル系の学生は短い鉄パイプを持ち、16号館1階ロビーと4階411教室で逃げ遅れた学生をメッタ打ちにした。この乱闘騒ぎで十数人が頭や腕に打撲傷を負った。けがをした学生たちは散り散りになって逃げ、一部は同夜、板橋区栄町33の都立豊島病院で手当てを受けたが、うち7人は頭部裂傷や腕の骨を折ってかなりの重傷だという。」(1973年4月5日付毎日新聞)
朝日新聞の見出しも「早大でまた内ゲバ 7人けが」と、毎日新聞と似たり寄ったり。“内ゲバ”と表記されるのはこれが初めてか。「4日午後6時半ごろ、早大構内の教育学部6号館(記事ママ)付近の2カ所で学生約60人が口論のあと乱闘となり、けが人が出たと110番があった。戸塚署員がすぐ現場にかけつけたが、すでに学生らの姿はなかった。同署で調べたところ、騒ぎの直後に学内診療所の医師後藤雅子さんが学生の通報で現場にかけつけたが、ロッ骨骨折、手の骨折のほか頭を鉄パイプで強打され7人がかなりのケガを負った。後藤さんがすぐ救急車で病院へ行くように指示したのに対し、学生たちは「救急車は困る」といい捨て、タクシーで病院へ向ったという。同署では、革マル派と反革マル派の学生たちによる内ゲバ事件とみており、傷害事件として捜査している。」
編註:この日重傷を負ったのは、二文臨時執行部議長のK君、一文執行委員会副委員長Y君の他、各学部の行動委の主軸となるメンバーであった。

【再び暴力を見過ごしたのか】

数日後に出された2T有志のビラ(編註:下書きのみ現存)は、この4.4の革マルによる16号館襲撃を“4.4鉄パイプテロ”と称し、川口君虐殺事件への自己批判を実践化したものだと断じた。すなわち、「未熟な部分が原則を逸脱して川口君を死に至らしめたことを自己批判する」という言葉の真意は「殺してしまったのはまずかった。廃人程度にしておけばよかった」ということで、それを実践したのが4.4だったと。「自派に反対する人間への恫喝、見せしめとしてのテロでもあるのだ」と。そして「このようなテロ・リンチは革マルの常套手段であり、これからも彼らは大義名分のもとに原則的にテロをしばしば行使してくるであろう」と予測している。
そのうえで「我々はまたしても見過ごしてしまったのである。11月8日、絶対にこれから革マルによるテロ・リンチの犠牲者を出さないことを誓った我々が、1月19日K君への無差別テロにつづいて、Y君をはじめとする重傷者は、我々自身が創り上げつつある運動体の代表者であり、そのことは、我々自身が冒涜されたことになるのだ」と暴力の看過に言及した。ビラの最後は「革マルがどんな形で恫喝をかけてこようとも、彼らがどんなに暴力的に敵対してこようとも、我々は川口君とともに闘い抜くであろう」と結ばれている。

【4.10に向けて】

この革マルによる鉄パイプテロは、4月10日に予定されていた各学部の学生大会への妨害行動でもあった。ことに一文では「自治会常任委」を僭称し、「統一学大」「統一行動」を喧伝。紛らわしい「学大実行委」という名称まで使っている。


【リンク】

緊急(4/4)革マル再び集団リンチ! 一文執行委員会