1973年2月8日(木)全学スト・総長団交勝利を掲げ全学総決起集会を開催。

提供: 19721108
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【概要】

「全学ストライキ・総長団交勝利」をスローガンに、各学部の新執行部、団交実行委員会等の呼びかけで、全学総決起集会が開催され、本部10号館に500名が参集した。政経、教育、一文のスト団実委の提案により「全学団交実行委員会」が結成された。6日、7日続けて学生大会が流会となった一文では、予定通り卒業試験が開始された。


【この日のできごと】

◎全学ストライキ・総長団交勝利を呼びかけて、全学総決起集会が本部10号館で開かれた。500名参集。
●一文当局は卒業予定者の試験を実施。また、3年生以下の期末試験は無期延期とした。
●一文教授会・教員会は、3年生以下の自宅にパンフレットを送付。新自治会を承認する条件等を示した。


【全学団交実行委員会の結成】

全学総決起集会は、7学部(政経、社学、教育、法、商、一文、二文)の執行部ほか、政経、教育のストライキ団交実行委員会、一文の団交実行委員会等の呼びかけで開催された。
集会は、『第一次早大闘争の記録』上映の後、各学部からの決意表明、討論へと移り、ストライキに反対している法学部執行部(編註:民青系)の見解に対し、法学部行動委員会、政経(学部)行動委員会からの反論が展開される場面もあった。
最後に「我々が一歩一歩克ち取ってきた質を、今こそ闘いの組織性において物質化することがせまられている。当局の闘争収拾策動としての試験強行を、あまたの弾圧の下で粉砕してきたストライキ体制を、今また早大当局の管理支配中枢破砕へ突き進むものとして再度強化すべく、全学スト体制を大胆に構築し、管理支配体制をマヒさせ、『総長』村井某を全学友の前に我々はひきずり出さなくてはならない」との政経、教育、一文の連名で出された全学団交実行委員会結成への呼びかけを受け、村井総長との直接団交へ向け全学団交実行委員会(準)の結成が決議された。
この時示された全学団交要求項目(試案)は次の8つであった。
1)各学部新自治会を即時無条件に承認せよ! 各学部自治会費凍結を即時解除せよ!
2)10.27、11.17告示を白紙撤回せよ!
3)11.14・15、1.22等一連の機動隊導入を自己批判せよ!
4)機動隊常駐、検問体制を自己批判せよ!
5)一文、二文「自治会三役」処分による責任転嫁を自己批判し、これを白紙撤回せよ!
6)第二学館を解放し、管理運営権を学生の手に渡せ!
7)今回の闘争による負傷者の治療費を将来にわたって全学保障せよ!
8)川口君虐殺の共犯者「総長」村井は責任をとって即刻退任せよ!


【クラス活動を組織する】

全学団交実行委員会の結成に呼応するように、「一年生連合会議(仮称・準)」に結集せよ!」の呼びかけが一文であった。
「川口君が生きて行うことができなかった早稲田解放へ向けた闘いをうけつぎ発展させてゆく、そのようなものとして活動を行なってゆきたい。早稲田解放をめざしあらゆる態をもって活動する、そのような活動母体として一年生会議はある。11.8以前の何も行動しないことで川口君虐殺を許してしまった自己を否定的にとらえ、自己改革をかけて運動をになってゆく個人orグループorクラスが自由に参加できるものとしていきたい。もうすぐ我々は4月という新しい時局を迎える。来るであろう新入生を11.8以前のあの欺まん的な日常性にそまらせてはならない。新入生と連帯し、運動をさらに進めていくためにも、今までの個々のクラスに分断された閉鎖的闘いから有機的に横の連帯を深めた大衆的な団結が必要とされているのだ」。
一文では、1、2年は語学ごとにクラス編成されているが、同じ語学のクラスで2年間一緒に学んでも、3年に進級すると専修別に再編される。単位が不足すれば留年となり、そのまま語学のクラスに籍が残る。実際に川口君のいた2Jでも、1月からのスト期間、その後の入試、春休みを経るうちにクラス単位での活動は自然消滅し、その後は個人単位で執行委員会、行動委等とともに活動を続けることとなった。
各クラスでは、クラス討論、学習会が継続的に持たれていたが、学外の喫茶店などで開かれることも多く、クラス間の横の繋がりは弱かった。呼びかけでは「革マルの強靱な組織力、当局の居直り」に対抗するためにも1年生の連帯が不可欠だということをはっきり認識しよう」と、2.14の1年生討論集会、新入生に向けてのパンフ作成、団交への討論など当面の行動方針が提案された。


【当局の承認条件】

一文教授会・教員会は、3年生以下の自宅に送付したパンフレットの中で「昨年11月8日の事件以来、諸君が学園の正常化のために真剣な運動の積み重ねを行ってきていることを評価するものである」としながらも「「学部自治会の新たな発足のためには、新執行部が、学生大会決定事項につき、学部投票等の方法で、学部自治会員過半数の支持を確認するよう求めたい」と、4項目の承認条件を示した。
1)クラス委員(自治会員)選出のための公正な選挙管理委員会の設置。
2)選挙期間・方式等を予め提示した上でのクラス在籍者過半数が出席することを条件とするクラス委員選出、及び公開の開票。
3)クラス委員総会において多数の支持を得た執行部の選出。
4)執行部による、全自治会員の総意を常時反映しうるような自治会規約案の提示と、その全自治会員による絶対多数による承認。


【代行主義の限界】

川口君の死をきっかけにクラス内で討論することから始まった一文の動きは、「クラス討論連絡会議」の結成により組織化された。構造としては、クラス討論により意見の一致を図り、それをクラスの代表者(自治委員)が自治委員総会にかけ、討論を経て全体の総意によって活動の方向性を決定するという形だった。
年が明けて学年末が近づくと、混乱を怖れた大学当局によるロックアウトや休講が増えて登校者数がしだいに減り、クラス討論を維持することが難しくなった。さらには、革マルによる暴力的排除がエスカレートするにつれて、学内でのクラス討論はもちろんのこと自治委員総会、さらには執行委員会も開催が危うくなり、個人→クラス→自治委員総会というクラス構成員の意見を集約する仕組みが失われた。
もともとクラスによって討論への熱意は異なり、クラス編成が語学単位だったこともあって、当初からクラス間の横の繋がりは脆弱だった。そうした背景があり、さらに状況が厳しくなったことで、自治委員総会へ出席するクラスの顔ぶれも固定化していった。
一方で、当局との交渉は自治会承認に焦点が絞られ、執行委員会が学生の代表機関として機能する(承認される)ためには各クラスから選ばれた自治委員による投票が求められた。これは既成の自治会規約にのっとった手続きであったが、流動的な学内状況の中で、自治会承認が目的化し自治委員選が長引いたことが、新執行部の動きを鈍らせ、運動の全体像を見えにくくしていったと考えられる。


【リンク】

声明文 全学団交実行委員会結成へ向けて 第一文学部団交実行委員会 教育学部ストライキ団交実行委員会 政経学部ストライキ団交実行委員会
一年生連合会議(仮称・準)に結集せよ! 一年生連合会議(仮称・準)
村井=革マルの川口君虐殺を許さないぞ! 一年生連合会議(仮称・準)