1973年2月6日(火)一文の学生大会不成立。一文当局は、卒業試験実施を発表。

提供: 19721108
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【概要】

第二波一週間ストライキが終わるこの日、一文では前日の団交を受けて学生大会を開催したが定足数に足りず不成立、学生集会となった。執行委員会の議案書および有志による「BACHの議案書」はそのまま翌日に持ち越された。午前中の時点で一文当局は、卒業予定者の試験実施を8日からと告示した。

【この日のできごと】

◎一文学生大会は僅差で不成立、学生集会に。
●一文は、卒業予定者のレポート提出と8日の試験実施を発表。

【2つの議案書】

一文の2.6学生大会には、執行委員会による議案書と、1~2年のA、B、C、Hクラス(=BACHバッハ)有志グループによる議案書(以下「BACHの議案書」)の2つが提出された。この「BACHの議案書」には、当局による自治会承認を目指す執行委員会に対し、運動の経緯の中で、当初の目的だった当局の自治会活動に対する干渉(11.13告示他)の撤回要求が承認要求にすり替えられたものであることを指摘し、キャンパスを開放し、持久戦を戦い抜くための情宣を徹底的に行っていくこと等が提案されている。あえて対案として提出した背景には、「学生大会にこれほど結集するエネルギーがありながら、『スト』期間中に持続した闘いを展開しえず、団交にも総力を結集しえていない」ことを否定的に捉えるのではなく、結集されたエネルギーを、既成の枠組みを越えた創造性のある運動として発展させたいという思いがあり、それは、前年12.8に一文キャンパスで開かれた「寒い冬を越すコンサート」に端を発したものだった。

【執行委員会の行動方針】

執行委員会は議案書の中で次の5点を行動方針として提起した。
1)4年生の卒業試験強行を断固阻止する。
2)全学総長団交勝利へ向けて全力で体勢を固める。
3)現在、集中攻撃を受けている第二文学部を実力で断固支援する。
4)越春――新入生歓迎体制を整え、春休みを組織的に乗り切る。
5)自治委員選挙をあくまで追求する。
具体的には次の4点。
1)2/7~2/13の1週間スト
2)4/10~4/14の5日間スト
3)2/8の総長団交要求全学総決起集会
4)2/13一文総括集会
試験阻止、団交実施等の対当局、自治委員選の妨害等を行う革マルへの対応に加え、4月を前に新入生への働きかけが課題となった。

「4月決戦という言葉がある。新入生をいかに我々の側に包み込んでいくかが、我々の闘いを決する。春休み中、入試、発表、入学手続きのスケジュールに合わせて行動し、かつ共同作業日を設定し文学部キャンパスで行動する。2/13を全学登校日とし、総決起集会の中で自治会ビジョンの資料を配付、3、4月の行動提起をしていく。一方、オリエンテーションに備えて11/8以降の我々の闘いを伝える資料を作製する。」(議案書より)

4/10~4/14の5日間ストはこのオリエンテーションに当てるために設定された。

【自治会は承認されるべきものなのか】

「BACHの議案書」は一つの問いを投げかけた。
「自治会とはそもそも『当局』に『認めて』もらう性格のものなのでしょうか。『認めて』もらえなければ機能を発揮できないものなのでしょうか」。そして、もし認めてもらうことを前提としているのであれば「そのような当局とぼくらの立場=関係こそ、まさしく〈早大管理支配体制〉そのものである」としている。それは「『公』のヴェールをまとった独裁に他ならない」ものであり、「『当局』とは、その最高『責任者』の村井であると同時に、責任を次から次へと転嫁し、批判を回避していく柔構造=無責任体制そのものであって、(中略)ぼくらが顕在化させていかねばならないのは、『大学』というヴェールをまとった一部の管理=支配者の『私(エゴ)』であり、『大学』とはまさにぼくら自身に他ならない」とした。それゆえ、「ぼくらの自治会はぼくら以外の誰かにによって認めてもらうのでなく、財政問題を含めた一切のことを自力で解決していけるような、文字通りの自治=自己権力の態勢こそ目ざさねばならない」と、自治会承認とは基軸を異にした創意ある運動への転換を呼びかけた。
また「〈反革マル〉として始まったぼくらの闘いは当局、革マルの一切の敵対を排し新執行部態勢を樹立していくなかで、新しい局面をむかえている」として、「ぼくらの闘いは建設の闘い」と位置づけ、2週間スト以降も引き続きストを継続し、80日間に及ぶ「文学部キャンパス解放区を創出」し新執行部の内実を整えること、さらに4月に新入生を迎えるにあたり、徹底的な情宣活動と新たな運動の展開を行うことの2点を提案した。

【自治会費の代行徴収をどうするか】

「BACHの議案書」で「財政問題を含めた一切のこと」と書かれているように、自治会費については、従来の当局による代行徴収を巡ってさかんに議論されたが、意見の統一はみられなかった。
執行委員会の議案書には「代行徴収に関する執行委員会の見解」が次のように示された。
「教授会から、代行徴収の要請書を出すようにとの要求がだされている。このことは、今なお我々の自治会を唯一の学生の代表機関と認めようとしない教授会に於いて明らかに矛盾した発言である。我々は彼らの論理矛盾を拡大する方向へ、我々の自治会が事実上唯一の代表機関となる方向へ闘いを推し進める。従って我々は彼らの要求に対し、当面正式な自治会として教授会に代行徴収を要請する。しかしながら、代行徴収に関する我々内部における論議が何らかの形で煮つまるまで、我々自らの手で自治会費を凍結しておくつもりである。」
一方、「BACHの議案書」には決議案として「自治会費代理一括徴収撤廃」の一文があったが、執行委員会からの要請で直前に黒く塗りつぶされた。
●73年4月10日付の早稲田キャンパスに掲載された座談会では、自治会費についても語られている。参加者は、新執行部、行動委、統一救対のメンバー。発言内容は一部抜粋で再録。
一文N:規約改正で徐々に明らかになっていくと思うが、監督機構の強化なりをしていく。どこかの党派が自治会の中枢・執行部を握っても機能できなくさせようという意見がある。一方では、水俣なら水俣に自治会の金としてカンパしようというわけです。社会との関わりをただ学費云々で持つだけでなく、こういう形で行っていく。そういったなかで、党派の私物化ではない、少なくとも抑圧機構ではない自治会像が出てくるのではないか。
行動委H:承認の問題にしても、承認されないと金がおりないというのが前提になるのか。僕たちが払った金を当局に預ける。それを当局が凍結する権利はまずないわけで、そういう構造に対する闘いが一つある。そして、制度的なものを粉砕する過程で、もっとユニークなことを考えてもいいと思う。一人百円カンパでもいいし、最低限僕らが立つところは、金に縛られない、どこかの党派みたいに金でボス交をしないということ。
政経U:一応卒業生には返すということだが、果たして全員取りに来るか、利子がどうなっているかが問題となる。さしあたってはパンフも作れないと困っているわけですけど。
二文K:バイトしたり街頭カンパでなんとかしているけれど、文学部の場合、自治会費を凍結していて今年は代行徴収もしない。先日、去年までの会計はどうなっているのかと聞きにいったら、教務主任がわからないと言うんだよ。少なくとも11.8以降はと聞いても、それもわからないと言う。こんなルーズなことをやっているわけ。当然のことだけど、「承認して下さい」と頼んでいる学部はない。僕たちが正規の学生大会を開いて選んだことなんだ。それを当局が云々する権利はない。
社学I:社学の場合、学生大会も自治委員総会もちゃんとやっているが、当局は裁判係争中だから自治会費は下ろさないという。
行動委H:金が当局の取引や恫喝の材料になっているわけだ。これに対して我々は自らの創意工夫でなんとか保障し、対決していくとしか言いようがない。
社学I:社学では承認運動はしない。

【リンク】

2.6学生大会 議案書 BACHの有志グループ