1973年2月5日(月)一文で3回目の団交。教育学部は学年末試験の延期を決定。政経学部の卒業試験中止。

提供: 19721108
移動先: 案内検索

【概要】

2月2日の交渉に続くこの日の一文団交で、新執行部の要求と当局の基本姿勢の違いがほぼ明解になった。焦点は2月6日学生大会で第三波ストが決行されるかどうか、それに対し一文当局が次にどう動くかに絞られ、入試直前の最大の山場を迎えた。一方、教育学部は学年末試験を無期延期とし、政治経済学部は卒業試験を中止した。

【この日のできごと】

◎3回目となる一文の学部団交に学部長は欠席。代わりに「10人委員会」が出席した。「自治会承認の条件」として、新入生が入った段階で過半数の賛同を得ることと提示した。「六項目要求」については、わずかに六番目に関して「総長団交を実現するよう教授会に要請する」と確約書に署名した。また、自治会費の「代行徴収の要請書」を出すようにと、学生側に要望した。
◎教育学部では、波状ストによるバリケードやピケで学年末試験を阻止した。
●教育学部は学年末試験を無期延期に。
◎政経学部でも、ピケを張るなどのスト態勢で試験の実施を阻止した。
●政経学部は4年生以上の卒業試験を中止とした。
●社会科学部は、2月3日と2月5日の団交要求を拒否し、改めて「学部主催による学部説明集会を」2月9日に催すと告示した。
◎「自主管理闘争」と称して16号館に入った革マルを放逐。


【試験阻止をめぐる当局との攻防】

「学年末試験をめぐって混乱の続いている早大の教育学部は5日、中断していた学年末試験を再開することにしていたが、学生のバリケードやピケなどの阻止行動によって行えず、同午前9時半「平静な状態が回復するまで無期延期する」と告示した。学年末試験の事実上の無期延期は、一文、政経、社学に次いで4学部目。また、政経学部は同日から4年生以上の卒業試験をすることにしていたが、これも学生の阻止行動で中止した。」(1973年2月5日付朝日新聞夕刊)
その後2月7日になって、政経学部は「4年生の試験が実施できないと判断」(1973年2月8日付朝日新聞)し、レポートへの切り替えとした。
また、教育学部の波状ストについては、4月に配られた新歓パンフレット中の「ストライキ闘争の経過とその意義」に次のような記載がある。
「我々は自主管理のストライキの中で。1.26~2.4(10日間ピケスト)体制の中で克ちとっていったクラス討論の拡大と深化を、更に自主ゼミ、授業カリキュラム問題、シンポジウムによる在日朝鮮人の闘い、女性解放の闘いを担っている多くの人達との交流などを含む創造活動へと転化させていった。文字通りクラス・サークル、諸団体が培ってきた新しい団結にこそ、ストライキの内実を見てとることができるし、そして、幾多の諸個人との相互交流、新たなる闘いの有機的結合、及び16地下自主管理闘争は、川口君を葬り去った早大管理支配体制に抵触するが故に、管理支配を突破する闘いの萌芽となっている。」

【社会科学部の団交延期】

社学臨執は、1月29日に開いた自治委員総会で30、31日の臨時ストライキを決め、30日には試験を強行しようとした当局に対し、バリケードを構築して試験を中止に追い込んだ。さらに31日の学生大会(1300名)では学部団交要求と1週間ストを決議した。この学部団交要求に対して当局は出席しない旨を告示。9日に学部主催による説明集会を催すと発表した。しかしながら、以下の理由により実施されなかった。「2月9日、再度、試験についての掲示を契機として、学部説明集会を開催し、臨執の承認、新自治会の承認問題について学部の見解を発表することに決めたのである。しかし、2月9日の現状からして、平穏に学部集会が開催される状態ではなかったので、今回、ここに文書を以て、これに代える次第である。」(2月15日付社会科学部告示より)


【社会科学部掲示(2月5日付)】

「告示
2月5日の学部団交の要請に対しては、2月9日に学部主催の説明集会を催す予定であるので出席しない。
尚2月2日の団交要請の回答について、当方の手違いから学生諸君に迷惑をかけたことについては遺憾であると思う。
  2月5日                  社会科学部長」

【社会科学部掲示(2月5日付)】

「告示
2月9日(金)学部主催による学部説明集会を催す。
   場所 15号館101教室
   時間 午後6時~午後8時
    2月5日                  社会科学部長」


【団交に対する社学当局の基本姿勢】

2月15日付の社会科学部告示に新執行部による団交要求に対して次のような見解が表明された。
「教授会は、従来の方針に従い、右の団交については、学生と教員との関係は、教育と研究の場という見解から、それは一般の労働者と使用者との労使関係とは性格の異なるものであるということ、即ち、教育と研究の場は、多数の力によって左右されうべき性質のものではないという理由で拒否し続けてきた。しかし今迄の試験延期ないしストによる学生の無用の疑惑ないし不安を明らかにすること等、学生諸君の要求に何等かの形で回答ないし通知すべきであると思慮し、時期をみて、説明する所存であった。」

【学生自治に関しての社学当局の考え方】

同じ2月15日付社会科学部告示には、学生自治に関する当局の見解も示された。
「学生自治のあり方については、それは自治会規約の基本精神に反しない限り、学部はこれに介入すべきではなく、全学生の総意によって決められるべきことであるということである。このことは、現自治会規約第2条の基本精神に対応するものであり、何等矛盾するところなく、むしろこれを尊重せねばならないことによるものである。
さきの臨執の規約改正がなされた点についても、教授会は、その解釈に疑念はあるとしても、学生の自治を侵すことのないよう審議し、特に規約改正が自治会規約の基本精神に反しないかどうかという点に重点をおき審議してきたのである。結局、徒に学生の自治活動を阻害することのないよう留意して、その態度を留保してきた。特に、11月28日の臨執決議にある『非暴力主義』殊に『意見の相違は暴力で解決しない』という項目について、これを評価しかつ注目してきた。
しかるに、1月29日、試験開始と併行していわゆる臨執の自治委員総会が催され、2日間の試験延期が決まり、ついで31日の大会で再び7日間の試験延期が決定され今日に至ったことは周知の如くである。
その間、学部は1月29日学生諸君が平穏無事に試験が完えたにもかかわらず、2日間の試験延期の決議がなされ、翌日の試験については、一部学生により、たび重なる掲示の破棄、教場のバリケード、実力阻止等をもって試験が阻止された。この事態は、さきの『無暴力』を主張する臨執の基本的なあり方からみて、誠に遺憾な行為といわざるをえないというべきである。しかも、この実力行使は、臨執の自治委員会で決定されたとするならば、この総会に、このような無謀な校を決定する権限があるかは全く不可解といわねばならない。」


【リンク】

2/5第3次団交に向けて! 第一文学部自治会新執行委員会 団交実行委員会情宣局